【福田村事件】恐怖の実話。人間の弱さを教えてくれる映画

ジャンル：スリラー・ヒューマンドラマ

あらすじ

第一次世界大戦後の日本。朝鮮の植民地化に伴い、多くの朝鮮人が日本で生活していた。
1923年9月1日、関東大震災が発生。混乱の中、朝鮮人の日本人に対する悪い噂が広まる。
政府もその真偽を見定められず、各地に自警団で朝鮮人に対応するよう指示を出す。

同年9月6日、千葉県東葛飾郡福田村。
香川から薬売りで千葉に来ていた行商人一行は、その帰りに船頭と口論になる。
そこに船頭の知り合いの村人が現れ、讃岐弁訛りの行商人たちに「朝鮮人ではないのか」と問い詰める。
恐怖に包まれた福田村の自警団と村人たちは、確証のないまま行商人10人を殺害してしまう。

評価：★★★★☆
ラスト30分の緊迫感が圧巻！集団心理の恐ろしさを目の当たりにする。
いちいちエロくてうんざりするが、「村」の気持ち悪さが上手く描かれている。

実際にあった事件を再現した映画。
関東大震災からちょうど100年後の2023年9月1日に公開されている。

行商人一行は穢多（エタ）と呼ばれる部落出身者たち。
生まれた時から差別に遭い、普通の生活を夢見ている。

朝鮮人は鮮人（センジン）と呼ばれ蔑まれている。
蔑んでいる自覚のある日本人は、関東大震災の混乱に乗じて朝鮮人たちにやり返されるという根拠のない噂を信じてしまう。

福田村の村人たちは様々な考えに触れつつ、戦争を背景に各々フラストレーションを抱えている。
しかし、同調しなければ「村八分にされる」。
それは新聞社も同様で、実際に目で見たものを書けない時代。

その成れの果てのこの事件である。
「人間は平等である」この考えが多数派であることの大切さが身に染みる。

人は弱い生き物で、だから群れで生活する。
そして数が増えると上下を作り始める。
自分が上であること、下がいることに安心する。

「何のために生まれてきたんだ」このセリフが最も印象的であった。
過去のこういった事件を経て、自分たちが弱い生き物であると自覚することのできる現代。
「人は生まれながらにして自由で平等である」弱さと戦い、この多数派を守っていかねばならない。

二度と同じようなことを起こさないために、ぜひ観てほしい一本。